人工知能を保護できるか?

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かつてはただ知能ネットワークという興味深いアイデアがあるだけでした。今ではますます多くの企業が人工知能(AI)を実用化しており、次のような大きな疑問や法的な検討点が現れています。人工知能を保護することは可能か?データの所有者は誰か?機械が傑作を生みだした場合、著作権をどう取り扱うか?

弊社は知財コンサルタントとして常に変化し続ける日常的なデジタルツールの保護に対して関心を強めました。特に、AIのような抽象的実体の法的保護は理解が困難であるように思えました。しかしながら、その概念は従来のソフトウェアと同じ法的枠組みに該当し、AIは著作権または特許による保護が可能であることが示唆されます。

コンピュータは「作者」ではない

著作権法の背後にある基本的な考え方は、良いアイデアを持った個人に社会のためになるものを作成することを奨励することです。

実際のところ、著作権を持つということは作品を制作した起案者がその作品を商業利用し、その事業化を行う排他的権利を付与されるということを意味します。

現在の法制度では、この「報酬」は人の手により制作された作品に限定されています。この要件では、コンピュータが人工知能を利用して制作した作品に著作権を付与することは不可能です。すなわち、コンピュータが「作者」になることはできません。さらに、コンピュータが制作したものを著作権の観点から「作品」と呼ぶことはできません。

コンピュータの制作の基盤となるアルゴリズムをコード化した個人にも、コンピュータの制作物に対する著作権はありません。一方、その個人は特定のプログラムとコンピュータが入力データを処理する方法に対する著作権を持つことができます。

端的にいえば、アルゴリズムの作成者以外の人物は、著作権を侵害することなくコンピュータの制作物を複製することができます。しかし、制作の基盤であるコンピュータプログラムは、それに利用されているデータベースと同様に保護されている可能性があります。

データべースの独占権

AIとそれに伴う機械学習は大容量のデータを必要とします。そのため、1つまたは複数のデータベースを利用する必要があります。

データベースに関する法制度はEUレベルで一致しています。そこでは、特別な努力または金銭的投資を通じてデータベースを作成する個人は15年間このデータベースに対する排他的権利を有するとされています。

排他的権利により、データベースはその全体または一部の商業的利用から保護されます。

データベースを作成した当事者でない場合は、データベースを機械学習に利用する前に権利の所有者との間で明確な合意を得る必要があります。

AIには特許性がある

過去の経験に基づいて実行される機能を持つという点で、AIは抽象的実体に類似しています。一方、この分野の法制度により、このようなデジタル制作物が容易に包括される可能性があります。

AIは従来のソフトウェアの保護に適用される法的枠組みに該当します。そのため、著作権による保護に加え、人工知能が関連するプログラムを特許化できる可能性があります。

特許取得したAIの良い例はデンマーク企業のCercare Medicalのケースです。同社はCercare Medical Neurosuiteというプログラムの特許を取得しました。これは、アルゴリズムで動く人工知能に基づく、医師による脳スキャン画像の診断を支援するプログラムです。

Cercare Medicalの詳細は、次の記事をご覧ください。