ウルシュタイン社: 3段階の知財戦略

ウルシュタイングループのX-BOW®は、一般的な船舶に比べ外洋の波をより滑らかに切りながら航行できるデザインを開発し、船首設計の賞を受賞しました。その背景にはプローマンヴィントフトが協力して開発された3段階の知財戦略が存在しているのです。

 

X-BOW®は単に船舶の設計に革命をもたらしただけでなく、革新性保護の新たな指標を示しています。今日の船舶は、技術的な側面だけではなく、さらなる可能性を秘めています。X-BOW®は、船舶が特許だけでなく他の2つの知的財産も同時に取得し得ることを示す最たる例の1つと言えるでしょう。

 

意匠、特許および商標の強力な保護

ウルシュタイン社は、これまで、従来とは異次元のデザインを備えた船舶を創造してきました。つまり、その船舶がウルシュタイン社によってなされたものであるとひと目でわかるデザインを有している、すなわち商標としての機能を備えた船舶をウルシュタインは創造してきました。

そこで、X-BOW®を製造するにあたり、ウルシュタイン社は知的財産権の本質ともいえる、特許権、意匠権及び商標権の3つの保護を取得したのです。

  • まず、船首に関する技術は船舶に関わる関係各国を対象とする国際特許出願によって保護しました。
  • 続いて、船首デザインは、関連する市場に狙いを定め、複数国への意匠出願によって保護しました。
  • 最後に、各国への立体商標出願がなされました。X-BOW®が立体商標として登録されたことは画期的なことでした。欧州連合において立体商標として登録された最初の船舶であったためです。

X-BOW®を知財によって保護する、ということは、競合他社船はウルシュタイン社からの許諾を得ない限り、ウルシュタイン社と同じ技術および設計に基づく製品を製造することができない、つまりX-BOW®を備えた船舶を製造することができない、ということを意味します。このように、X-BOW®を知財によって万全に保護することで、ウルシュタイン社は競合他社に対して安定した優位性を保つことができるのです。